悪いものが憑いている

田舎の母が怪我をしたと聞き私は急いで実家に戻った。
「ちょっと腰を強く打っただけよ。心配ないわ」
そうは言うけど、歩き辛そうだ。…ところで、この水晶玉なに？
「この前亡くなった田中さんの家にあったものよ。いらないっていうから貰ったの」
もしかして怪我の原因これじゃないの？こういうのって悪いものが憑てる事があるって聞くし…
「大丈夫よ。これを貰った日から家中でラップ音やポルターガイストがよく起こるけど問題ないわ。ほら、今も子どもの走る音がするでしょ」
これ完全に憑いてんじゃん！ヤバいって！
私は水晶玉を外に投げ捨てようとする。が、身体が動かない。耳元で『ヤメロ』と叫ぶ声。全身に悪寒が走る。
「こら！ほたえるな！アンタも水晶を投げようだなんて何考えてんの！この子達に謝んなさい！」
怒鳴る母にごめんなさい！と叫ぶと私の金縛りが解けた。
さすが昭和生まれ昭和育ちの母。悪ガキの扱いはお手の物だった。