密室のいじめられっ子

私は毎日さまざまな人々に顔面を触られたり、強く押されたり、時には殴られたりさえする。しかも密室でだ。私が決して声を上げないことをいいことに彼らは機嫌の悪い時、あるいは急いでいる時に私を痛めつける。これはもはや陰湿ないじめと呼んでも差し支えないのではないか。加害者の連中には近所の住人もいれば、怪しい訪問販売員、さらには元気な配達員なども含まれる。これは何も大人だけではない。先月には噛んでいたガムを私の顔になすりつけてくる悪質な子どもにも遭遇した。身体の中でも一番大事な部分をそのように蔑ろにされる屈辱をおわかりいただけるだろうか。まだ生まれて3年あまりにもかかわらず、既に私の顔面はボロボロで見る影もない。かつて私の顔面には黒字で「閉」という化粧がはっきりと施されていたことを覚えている人はもはや数えるほどだろう。これもエレベーターを行き急ぐ人であふれた結果か。世知辛い社会になってしまったことよ。