おひとついかがですか？

「おひとついかがですか？」と美女がカットされた桃を差し出してくる。
…うん。美味しい。さすが桃源郷の桃。地球上のどの桃よりも甘くて瑞々しい。
値段を確認する。１００徳か…高いなぁ…さすが天国直営店。
一応毎日徳は積んでいるものの、ここ最近はちょっと徳を使い過ぎている。
徳って、お金みたく簡単に稼げるものじゃないからなぁ…だからこそ、使う時は慎重に考えないといけない。
去年の父の日に養老の滝のお酒を父にプレゼントした時は、支払った徳がそのままキャッシュバックされた。
父さん、そんなに嬉しかったんだと贈った私も嬉しくなった。
そうだ！家族へのお土産にしたら、また徳がキャッシュバックされるかも！
そんな打算とともに桃を購入しようとするも、３徳足りなかった。
私はコンビニを探すと募金する。道端に落ちているゴミを拾い集める。
これで５徳。桃を購入した私は、家路につく間も小さな徳を積むよう心掛けた。