手紙
0
1
「パパとママに、おてがみ、おねがいします」
そう言って少年が、一通の手紙を差し出した。
シールで封を留めただけの、まさに『おてがみ』って感じの手紙だ。
「住所書かなきゃ、俺は届けられないよ」
そう言うと、少年は泣きそうな顔をした。そんな顔されたって、無理なもんは無理だ。俺はそう言ってその日の仕事を終え、帰宅し、テレビをつけたのだった。
次の日、少年はまたそこにいた。
「よお坊主」
「あ…」
「手紙、届けてやるよ」
「え、いいの?」
「おう」
少年は嬉しそうに、なんで?と聞いてくる。気分だと言ったら、少年はありがとうと笑った。
その日の夕方のニュースで、幼児誘拐殺人事件の犯人が捕まったと報道されていた。
遺棄されていた遺体も見つかったらしい。
「良かったな」
すっかり見慣れた、テレビの中の写真の少年にそう言うと、また、ありがとうと聞こえた気がした。
そう言って少年が、一通の手紙を差し出した。
シールで封を留めただけの、まさに『おてがみ』って感じの手紙だ。
「住所書かなきゃ、俺は届けられないよ」
そう言うと、少年は泣きそうな顔をした。そんな顔されたって、無理なもんは無理だ。俺はそう言ってその日の仕事を終え、帰宅し、テレビをつけたのだった。
次の日、少年はまたそこにいた。
「よお坊主」
「あ…」
「手紙、届けてやるよ」
「え、いいの?」
「おう」
少年は嬉しそうに、なんで?と聞いてくる。気分だと言ったら、少年はありがとうと笑った。
その日の夕方のニュースで、幼児誘拐殺人事件の犯人が捕まったと報道されていた。
遺棄されていた遺体も見つかったらしい。
「良かったな」
すっかり見慣れた、テレビの中の写真の少年にそう言うと、また、ありがとうと聞こえた気がした。
その他
公開:23/05/10 09:14
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます