失恋レンタル

寝ても覚めても仕事ばかりで、時間にも心にも余裕のない私に友人が”失恋レンタル”を勧めてくれた。
ものは試しにと一泊二日、失恋をレンタルしてみる。
１日目。
心にぽっかり穴が開いた。うわの空で仕事が手につかない。
ため息を吐いては虚しさに涙する私を周りが心配する。
私が「大丈夫だよ」と言っても「いやいや、それ大丈夫じゃないから」と休むよう勧めてくる。
その日の仕事を片付けると、私は久しぶりに休みを貰った。
２日目。
失恋を返すと昨日まで感じていた虚しさが消えていた。心に空いていた穴は心の余裕へと変わった。
「失恋レンタル、凄いでしょ」と友人。
私は本当にいい友人を持った。私を心配してくれるこの人を、もっと大切にしないと…
失恋レンタルが教えてくれた虚しさは、友人を失う喪失感を想像させた。
そっか…恋って、相手を好きでいる事全般をそう呼ぶんだ。
私の中に人を好きになる心の余裕が戻った気がした。