悪い虫と愛の巣

夫が悪い虫の毒牙にかかった。
「離婚してくれ。この家さえくれれば、あとは全部君が持って行っていい」
頬を紅潮させ、だらしない笑みを浮かべる夫。隣に座る美女に騙されているに違いない！
夫は私を無視して、女とイチャつく。女は夫の頬に何度もキスをする。
見てられない…私は離婚届と通帳を持って家を出た。

数カ月後、実家に戻った私を警察が訪ねて来た。
元夫は仕事を辞めたようだ。もう私には関係のない話かと思いきや、私が家を出た日から元夫は家に引きこもっているらしい。何も知らないけど、少し心配だ…
あの家の鍵はまだ持っている。私は警察と元夫の住む家にやって来た。
玄関を開ける私達を羽虫の大群が出迎える。
虫を払うとその奥に元夫はいた。
布団に横たわり、美女から食事を与えられている。
でもそれを食べているのは元夫の頬に蠢く幼虫。
悲鳴を上げる私に視線を向けた美女は微笑む。
「見て。素敵な愛の巣でしょ？」