おひとついかがですか？

正月、初詣に行くと真っ赤な餅が売られていた。
「おひとついかがですか？」と笑顔を浮かべる巫女さん。
「物凄くマズいですよ」と笑顔で差し出す。
それは言っちゃダメだろう。誰も買わなくなるぞ。
だが、真っ赤な餅は次々と売れていく。何で？
「あっ！おウソが売られている。ウチも買っていきましょ」と妻。おウソって何？
「知らないの？お餅みたくウソをついたものよ。真っ赤な嘘だから色も赤いの」
成程…でも、マズいんだろう？正月早々、マズいものなんて食べたくないよ。
「何言ってるの。おウソの”マズい”は”美味しい”って意味よ」
何でそんなややこしい真似を…
「そりゃ、嘘だからよ。おウソを美味しいって言ったら、ウソついてないんだからマズいでしょ」
分かったような…分からないような…
「それに嘘って飲み込み辛いでしょ。お餅と一緒に食べれば、喉に詰まらせる心配もないし、紅白餅みたく縁起がいいの」
納得の理由だ。