暴走コピーマシン

「新製品をお使いください」セールスマンがオフィスに運んできたのは見たところ普通のコピー機。「皆さん、パソコンから出力しますね。このコピー機はプリント指示された方の席までコピー書類を届けます」「移動して？」「はい。パソコンの位置を感知して小型EVでお席まで行きます。」
使ってみると便利だ。オフィスの20名が出力指示するとコピー機がごろごろとそれぞれの席にやってきて、書類を吐き出しては定位置に戻り充電器にスタンバイする。
数日後、出社するとオフィスの椅子やワゴンの位置が乱れている。コピー機が動いたのではと、セールスマンに電話すると「状況確認のため夜に徘徊します」と言う。
さらに数日後の朝、コピー機が部屋からいなくなった。前日に施錠し忘れたのかドアが開いたままだ。セールスマンに連絡した。「ご心配をおかけします。部屋から出てしまいました。内臓GPSでは、現在、東名高速を猛スピードで走っています」