幽霊運転手

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加藤という男はタクシー運転手だった。毎日健気に稼いだ金を社長である、三杉に報告していた。
三杉もご苦労さんと言って、恭しく受け取っていた。給料は振り込んでおくよと言うと、いつも肯いて帰って行った。
だが一つだけ加藤が他の運転手と違うのは、幽霊だということだった。三杉も幽霊を働かせることに心を傷めないわけではないが、会社の売り上げが右肩下がりで倒産寸前なのであった。加藤は家で心臓麻痺で亡くなっていたが、よほど運転が好きだとみえて葬儀の翌日いつも通り出勤してきた。三杉も幽霊だろうと見当をつけたが、何も言わず働いてもらった。タダ働きをしてくれて、それなりの売り上げを稼いでくれるから一番の優良社員とも言えた。バレたらその時はその時だと三杉は開き直っていた。
しかしその日は、いつまで経っても加藤は帰って来なかった。後日海中から無人のタクシーが発見された。
幽霊客を乗せて、幽霊客が海へと誘ったらしい。
その他
公開:23/05/05 18:03

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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