金縛りの正体

曰く付きの物件に住んでいる友人。
毎晩金縛りに遭っているらしく心配になる。
「俺の事は大丈夫。何も心配いらないさ」
いや、そういうわけにもいかないだろう。せめてお札くらい貼ったらどうだ？
「貼ったよ。その結果があれさ」
柱を指さす友人。そこに目をやるとボロボロになった細長い紙が垂れ下がっていた。
「お札なんて、あの子にとっては玩具でしかないんだ」
あの子？お前、今あの子って言ったか？もしかしてお前…幽霊に憑りつかれているんじゃないだろうな！？
「憑りつかれていると言われればそうかもしれない…」
何言ってんだ！今すぐここを出るぞ！
「これでも、同じこと言えるか？」
スマホを見せてくる友人。そこに写っているのは暗闇の中、幽かに発光する猫。
「これが金縛りの正体で、この家に住む幽霊だ。毎晩俺の腹の上に載って来て、金縛りに合わせてくるんだ。可愛いだろう？」
姿は見えないが、近くで猫の鳴く声がした。