おひとつ屋

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職場やご近所間での差し入れやおすそ分けは意外と気を遣うものだ。
値段が高過ぎても安過ぎても問題だし、量が足りなくても余ってもトラブルに繋がる。限られた予算内で先方の好みも視野に入れつつ、負担にならない範囲で喜ばれそうな品を……とあれこれ考えだせばきりがない。また逆にもらう側も、受け取った品に何をどこまで返せばいいのか同様に悩む羽目になる。

そんなプチ贈答品の専門アドバイザーとして、近年人気を集めているのが『おひとつ屋』だ。
希望の金額や人数、渡したい相手の情報を元に、最適な贈答プランの提案や贈答品の調達を請け負ってくれる。
ボタンひとつで付き合い事が完了する気軽さから、誰も彼もが『おひとつ屋』経由で差し入れし合い、出所不明なおすそ分けとお返しの無限ループに陥っている。

おかげで今日もオフィスは『おひとついかがですか?』の大合唱だ。デスクには消費しきれないおひとつの山が積み重なっている。
その他
公開:23/05/01 18:15
月の音色 月の文学館 テーマ:おひとついかがですか?

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO

ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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