タンポポ

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その宇宙船は、ある意味ではクラスター爆弾のようだった。
大型宇宙船の中に、小さなカプセルがぎっしりと詰まっている。大型宇宙船は太陽系を越えた当たりで爆発を起こし、カプセルを宇宙空間にばらまく。
カプセルの中に入っているのは、人間のDNAが組み込まれたウィルスだ。小型カプセルは気ままに宇宙空間をさまよい、いつか惑星の重力にとらわれ、不時着する。そこにすでに生命体がいたのなら、ウィルルスはとりつき、いつか人類を復元することだろう。
まるで、たんぽぽの種のようだ、とこの計画を推進した科学者は思った。
たんぽぽは風の吹くまま種を飛ばし、たまたま条件の適した場所に落ちた種が発芽し、世代をつないでいく。
地球上の生命にしても、もしかしたら、どこかの星から飛んできた種から生まれたのかもしれない。
科学者の夢想は、いつまでも宇宙を駆け巡った。
SF
公開:23/04/30 18:02

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