最終戦の約束

おれはプロ野球チームのエースである。最終戦に勝てば優勝という大一番の先発を任された。おれは球団の上層部に呼び出された。
明日の試合は頑張ってくれという激励だと思ったが、負けてくれと言う。そうすればお前にボーナスをやる。優勝されると選手全体の年俸を上げなければならないから、それを避けたいのだと言われた。
ドラマならここで机を倒して、ふざけるなと怒り帰るところだがおれは受け入れた。球団の言い分ももっともだと思ったし、おれもその方が得をする。
野球を何故やるのかと言えば、自分のためである。ファンのため、みんなのためというのは偽善であるし使い捨てにされるだけだ。優勝しても一時の喜びだけだから、稼げる時に稼いだ方がいい。
約束通りおれはわざと打たれて負けた。球団のためにもおれのためにもよかったと思う。
当然ライバルチームの優勝となる。そのチームの選手やファンは喜んでくれたので、いいことをしたと思う。