近眼なプリンセス

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眼鏡やコンタクトレンズが発明されるには遥かなとある世界。

んん、良く見えないなあ。
何か腹に一物あるのではなかろうか。
私は疑い深い。そうでなければこの世界を生き延びることは難しい。
あのものに出会うまではそう思っていた。

遠くのものはよく見えない。
近くのものもよく見えない。
私は近眼なプリンセス。

この世界の色も形もぼやけて見える。はっきり見えない。

あのものといるとどうしてこんな気持ちになるのだろう。あのものの声を聞くだけでどうしてこんなに胸が高鳴るのだろう。

あのものはとある国の王。キングなのだ。

大切なことは見えないんだよね。
わたしたちは手をつないだ。たしかな温もり。
あたたかい気もちが伝わってきた。

見つめあった。
お互い目は見えにくいけれど。
顔を近づけて見つめあった。

よく見えなかったものが。
今ならよく見える。


ふたりのあいだにプリンスが産まれた。
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公開:23/04/22 23:18
更新:23/04/22 23:23
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前虎( https://mobile.twitter.com/mae10ra )

はじめまして。
前虎と申します。
作品を読んでいただけたら嬉しいです!
よろしくお願い致します。
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