ハート接骨院

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ハートマークの看板が目印の接骨院がある。その名も「ハート接骨院」。
この接骨院は、手足や腕などにある骨を治すわけではないが、その評判を聞きつけて順番待ちになっている。
院長は、初診の患者に以下のように説明している。
「当院はハート、心を接骨します。挫折や諦め、絶望の心境に陥ることを『心が折れる』といいますが、その折れた心を治します。
こちらは心電図に似た写真ですが、浮き沈みしている線が心の状況です。心が折れると下降線を辿り、そのまま上がることはなく一直線になります。この線を元に戻すための治療を施します。
治療法は、心の骨を回復させるためのマッサージやストレッチ、症状が重たい場合は通院でリハビリしていただく場合もあります。
これらの治療によって大半の患者さんは通常の心に戻ります。
ただ、人によっては治療が効きすぎて『鋼の心』を手に入れる方もいます。これが良いのか悪いのかその人次第ですが……」
その他
公開:23/04/22 07:01
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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