空から青を吸い取る花

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最後に青空をみたのは、3週間前。
年々、日本の梅雨は長くなっていく。かつて、鈍色の空が続くのは6月くらいだった。でも、近年は7月でさえ青空の日は稀で、その原因はとある花の増加にあった。

空に与えられた青は無限ではなく、定められた量を上手にやりくりして、青空を作る必要がある。だが、困った事に空の青が好物で、水と一緒に吸い取る花がある。ネモフィラだ。「地上に咲く空」の様に美しいネモフィラは、本来純白の花だ。しかし、その多くが空の青を好み、吸い取る事で美しい空色になった。花の真ん中が白いのは、元々の色の名残なのだ。

吸われた分、空の青は減る。そこで調節した結果、ネモフィラの開花期である5月の翌月、つまり6月が曇天ばかりになる。更に、最近は人気に比例して数も増え、青不足に拍車がかかり、梅雨が長くなっていったというわけだ。

頭上にあった青空が、地上にばかり広がるようになる日も近いかもしれない。
その他
公開:23/04/21 23:14
更新:23/04/23 14:53

ネモフィラは咲う

気ままに咲うネモフィラのヒトリガタリ

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