うまさの秘密はブロークンハート

楽しみにしていたのに今日もお店でランチできなかった…
ぴしり、とハートにひびが入る音がする。
肩を落とし、私は息子と一緒に砕けたハートを拾い集め帰宅する。

後日、再びお店を訪れ、息子とランチを楽しんだ。
その際、先日砕けたハートをふりかけのように料理へとまぶす。
うん！料理が凄く美味しく感じる！
前回食べられなかった悔しさがスパイスとなって、料理の美味しさを引き立てる！
ブロークンハートして良かったとは思わないが、ブロークンハートした甲斐はあった。

「料理が食べられないくらいでハートが砕かれるなんて、君も子どもだな」
夫が私をバカにする。そんな夫、嫌いだ！
ぱきんっ！と音がして、夫の心が砕けた。
うわぁ…滅茶苦茶ショック受けている…嫌いって言われただけで号泣するなんて、夫も子どもだ。
夫は砕けた心をかき集め、それを私にふりかけては仲直りのキスをしてくる。
そのキスも当然、上手く感じた。