天秤の動かし方

一人が幸福なとき、誰かは不幸だ。
一人が嬉々としているとき、誰かは悲嘆している。
この世はそうやって天秤にかけられている。そう自覚してから僕はすぐに行動した。

一人を殺せば誰かに幸せが訪れる。

幸せそうな人を殺せば、その分の幸せは僕のものになるかもしれない。
嬉しそうな人を殺せば、次は僕が笑顔になれるかもしれない。
人の数が減れば、それだけ僕にもチャンスがあるってことだ。

なんだか、お金を入れてランダムに景品が出てくるあのゲームを思い出した。いくらか回しても目当ての品がなかなか出ないんだ。本当に欲しかったら回し続けるしかない。

幸いお金は必要ないし。
用意するものといったら屈強な男も仕留められるくらいの鈍器か刃物と、ちょっとしたイメージトレーニングくらいだ。

待っていても幸せは歩いてこない。
幸せは、自分で勝ち取るものだよね。