殿さまの国民

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19世紀末、東洋のある国に「黒船」が訪れた。
しかしその国は、開国しなかった。
そして21世紀のいまも、「幕府」と「藩」が続いている。

その国では、産業革命も、IT革命も起こったが、現在でも「殿さま」が大切にされている。

そして、世界で活躍する「社中」(会社のこと)も、たくさん生まれた。
その社中が大切にするのは「家紋」だ。どんな商品にも、ソフト、コンテンツにも、必ず片隅に、藩の「家紋」が描かれている。

世界では「権威」が失われ、社会が平らになっていく中で、その国だけが「権威」への忠義を強めていく。
ついには、遺伝子操作で、生まれてくる赤ん坊のおでこにも、「家紋」を入れるようになった!

地球上のどこでも、その国民に会うと、おでこにある紋ですぐわかる。
他国の人は、見ると思わず吹き出してしまう。

でもそんな時、彼らは必ず、こう言い返すのが習わしなのだ。
「怒っちゃ、やーよー!」
ファンタジー
公開:23/04/23 20:19
更新:23/04/24 21:55
殿さま 鎖国

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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