憑依どん

「はいお待たせしました。ひとまず一生お疲れ様でした。
成仏コース、憑依コースどちらにしましょう」
何を聞かれているのか全くわからずどぎまぎしてしまった。

「あー、最初に説明聞いてなかったんですね。
ここは死後の世界の進路を決める場所になります。このまま成仏していただくか、誰かに憑依するかになります。
憑依すれば下界をまだ体験できますし、憑依した人が幸福になれば成仏グレードもアップできますよ」

元の世界に未練があるわけではないが、普通に成仏するのはもったいない気がして憑依コースに決めた。

進んだ先には約300人ほどの人がいた。年齢も性別もばらばらだ。
「これから一斉にスタートして、憑依したい人のところへ向かってください！なお、平等を期すために走るスピードはみなさん同じにしてあります！
押さないでください！押さないでください！行きますよーー、
ひょーーーーーい、どん！」