本の記憶術

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昔は本を読んで面白いと思っても、内容を忘れてしまうといった人が多かった。しかし本の内容をいつまでも憶えておくことのできる、記憶術が誰でも使える世の中になった。これは読書好きな人や学生にとっては、心強い術であった。
学生は暗記がしやすくなりテストでいい点が取れるようになったし、読書家も忘れてしまうジレンマに悩まされることなく、読書を楽しむことができた。
しかし本の内容がいつでも蘇ってきて運転中も本のシーンが浮かび、集中できず事故を起こしたりした。
また犯罪シーンの描写を思い出し、虚構と現実の区別がつかなくなり犯罪を起こす人もいた。
何か考える時も、あの作家はこんな風に書いていたな、いやあの作家はこう書いていたな。いやまた違う作家の意見もあったし、そもそも自分はこうじゃないかと思うが作家の方が頭がいいしなどと堂々巡りになることも多かった。
知識はあるものの頭の固い、主体性の無い人も増えた。
その他
公開:23/04/19 00:13

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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