呉越同舟

私は妻と新婚旅行に行った。行く先は妻が指定した国である。私は他に行きたい所があったのだが妻がどうしてもと言うので、私が折れた形になった。
行った先の国でも揉めた。私があそこに行きたい、次はこうしたいと言っても妻がいやあそこに行く、次はこうすると言って聞かなかった。
私と違って容姿端麗なお嬢様育ちだからわがままな性格なのだな仕方がないなと、自分に言い聞かせた。
普段の生活でも文句を言われてばかりだった。私はあまり親から躾られてないので、その綻びを妻から指摘されるのだ。私は才覚もなく低い給与に甘んじている。それもお嬢様育ちの妻には我慢ならないらしい。
二人で出かけても私の車の運転が下手だと文句を言われるので、口実をつけてあまり二人で出かけなくなった。
私の方が先に死んだ。あの世の役人と話をした。絶対妻と天国で一緒になりたくない、生まれ変わっても他の人と一緒になりたいと言った。受け入れられた。