天国行きの高級車

先日、父が亡くなった。百歳の大往生だ。
父は生前、会社を興した。それは不況にあえぐ人々の助けとなり、今も多くの人に愛されている。
社長だった父も当然、多くの人に愛されていた。そんな父を私も尊敬している。
それ故か、父のお迎えは死神が高級車でやってきた。
今や現存していない幻の車で天国に行けるなんて凄く羨ましい！
『でしたら、貴方のお迎えもこの車で来ましょうか？』と死神。
いいんですか？
『ええ、勿論。ですがこの車、人気車種で予約も多く、もしかしたら希望に添えない可能性がございまして…』
どうしてもこの車がいいんですけど…ダメですか？
『ダメって事はありませんが…ちょっと待って下さい…ああ、難しいなぁ…この車、百年先まで予定が埋まっていますね…そうだ！キャンセル待ちしますか？』
お願いします！
『あっ！たった今、キャンセルが出ました！明日、貴方を迎えに来ますね』
キャンセルでお願いします！！