愛を知らない少女

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愛をください。少女は誰からも愛されなかった。だから愛を欲した。ただ、それだけの事だったのだ。
「私はただ……愛されたかっただけなんです」
そう言って彼女は泣いた。僕も彼女と同じように泣き続けた。何でだろう? 彼女の気持ちが痛いほど分かった気がする。僕の両親は優しかったけど、それだけだ。愛情なんか注いではくれなかった。でも、僕は両親が嫌いじゃない。それは何故だろうか? 分からない。ただ言えるのは、彼女にはもう何も残っていないという事だけだった。
そして、僕には彼女が必要になっていた。この世界で唯一、僕を理解してくれる人。それが彼女だったから。僕は彼女を抱きしめて、それから二人でずっと泣いていた。
泣き疲れた頃、僕はやっと口を開く事が出来た。
「僕じゃ駄目かな?」
彼女は驚いたように顔を上げた。
「君を愛する事は出来ないかもしれないけれど、僕なら君の事を分かってあげられると思うんだ」
公開:23/04/12 09:15

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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