映画館でのとある出来事

映画館のスタッフは映画が１本終わる度にそのスクリーンを確認しなければならない。
その場所に留まっている人はいないか？忘れ物や落し物はないか？
飲み物や食べ物の汚れがあれば掃除しなければならないし、これがまた意外と大仕事である。

映画館での忘れ物や落し物で一番多いのが上着。
スマホは映画が終わると時間を確認する人が多く、忘れられる事は少ない。鞄の忘れ物は多いけど。
あと子ども向け映画だと、子ども達が持ってきた玩具を忘れていく事が多い。
そうして残された玩具達は「貴方もですか？」なんて忘れ物同士、世間話に花を咲かせる。
やれ乱暴に扱われるだの、やれ大切にされないだの、文句ばかり言う玩具達だが、涙目の持ち主が現れると「やっぱり自分がいなきゃダメだな…」とまんざらでもない様子で子どもの手を取る。
玩具と子どもの相思相愛。
映画館のスタッフはいつだってそんなドラマチックなシーンを特等席で見ている。