カレーと寿命

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「君はあと十分で死ぬよ」
「じゅ、十分!?」
私は驚きのあまり椅子から跳ね上がる。
医者はそれがさも当たり前かのように淡々としていた。「さて、無駄にする時間もあるまい。死ぬ前にやりたいことをやってきなさい」医者が話している途中で私はもう駆け出していた。目指すはカレー店だった。必死の思いでカレー店を見つけ出す。入るやいなや、メニュー表も見ずに早口で注文した。「カレーライス!今すぐに!」そして店員の運んできた水をがぶ飲みする。
寿命はあと何分だろうか。自然と貧乏ゆすりが激しくなる。料理が運ばれて来ないのをこんなに焦ったことはないだろう。店員がお盆にカレーライスを乗せ優雅に歩いてきた。俺はお盆ごとぶんどって急いでスプーンでかっこむ。旨い。だが急がねば。何口か食べた所で急に呼吸が苦しくなり私は倒れた。先ほどの医者が店に入り私の首を触った。「ではお亡くなりと」カルテには雑にカレー死と書かれていた。
SF
公開:23/04/08 23:25

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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