無題

　ある村にゴルフ場建設誘致の話が持ち上がった。財政破綻の危機にある村は喜んで業者を迎え入れた。しかし、一部の集落の者たちが反対を訴えた。
「自然を壊すな!」
「先祖代々の土地だ!」
　彼らの声は大きいものの、予定地である森は国有地であり、環境に配慮するとの説明を受けていた村長は、半ば強引に計画を進めた。懐も潤えば黙るだろう…。赤く目を血走らせて反対を叫ぶ男女や子供たちを横目に見て、村長は思った。
　施工初日、反対派の人々は忽然と村から姿を消した。どこへ行った?　村長は困惑した。だが次の瞬間、村長は知った。彼らが反対していた本当の理由――そう。
　無数の白骨死体が森全域にバラ撒かれるように埋められていたのだ。中には肉片のこびりついた子供らしき小さな骨、髪の長い若い女の骨まである。
　村長は戦慄した。
　彼らが先祖代々"なに"をして、次にどこで"なに"をするのか…それは誰にもわからなかった…。