テープ

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 何でもとめられるテープという触れ込みの商品が発売された。
 文字通り、何でもとめておける。オイルでコーティングされた金属にもしっかり使えるらしい。(それがどれだけすごいのか、私にはよく分からないけれど)
 とにかく凄いとの噂から、私は様々なものをテープでとめた。例えば窓の外の景色。
 一面の桜。揺れる白いカーテンの向こう側で、キラキラと輝いている。今はもう7月なのに、未だ桜は咲き続けている。
 本当に何でもとめられるんだ。という驚きと共に、ここ最近はもう充分かなという気もしていた。
 私はそっと、窓際のベッドから手を伸ばし、窓のテープを外す。季節は一気に夏へ変わり、蝉の声。
 続けて、その手で胸元と頭に貼っておいたテープを剥がす。“どちらから抜けていくか”分からなかったからだ。

──いい人生だった。家族、友達に恵まれた、とてもいい──。

 静かな部屋の中で、蝉の声が急に大きくなった。
その他
公開:23/04/02 12:53

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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