救世主の使命

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 最初は誰も、勇者様が救世主だとは信じていませんでした。トラックと呼ばれるものに轢かれ、女神から約束された第二の人生など、巫女の私でも半信半疑です。
 でも本当でした。彼と仲間の女性たちは、魔王を倒し魔族を滅ぼしました。私は確信しました。彼は本当に女神に会い、力を授かったのです。私たちは皆、彼の崇拝者でした。
 彼らは今も新たな敵と、休むことなく戦い続けています。魂を喰らう竜、私利私欲に塗れた邪神崇拝の王……。もちろんそんな者、存在しません。私たちが勇者様一行にかけた幻です。彼らが殺戮している怪物も、何の罪もない、普通に暮らしているだけの人々です。
 でも、それでいいのです。彼が教えてくれたのですから。無意味にただ殺された者は、来世での強大な力と使命が約束されていると。女神は彼を通じて、私たちの無意味な生を、無意味に終わらせる方法を授けたのです。
 救世主よ、あなたは私たちのトラックです。
ファンタジー
公開:23/04/02 06:25

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