顔出しパネル

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旅先で顔出しパネルを見るとつい顔を入れたくなる。
どうしてこんな人がいない山中に置いてあるんだろうと不思議に思いつつ、パンダが描かれたパネルに顔をはめ込んでみる。
頭の中心から顎の先までまるで測ったかのようにピタリと顔がはまった。
えっ?
あまりにフィットし過ぎて顔が抜けない。
足を踏ん張り、両手でパネルの裏面を抑えて
引き抜こうとするが、少しも動かない。
声を出そうにも口が開けないので、
パネルを叩いて音を出してみる。
しかし人気のないこの場所では助けに来る人はいない。
ダメだ。
絶望的な気持ちで気力が失せてくる。
何時間たったのだろう。
かすかに人の話す声が聞こえてきた。
声は徐々にこちらに近づいてくる。
ああ、助かった。
気持ちが緩んだのか、目からは涙があふれてくる。
男性同士の会話がはっきり聞こえてきた。

「おっ、動いてるよ」
「この仕掛けに獲物がかかったのは久しぶりだな」
ミステリー・推理
公開:23/04/01 15:00

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