自動ペン

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用途に応じたペンが自動で書いてくれるようになった。純文学でもミステリでも、事務的な手紙でもどんな分野でもあった。
ただ基本となる文章は書けても、それ以上の物は書けなかった。やはりその人の努力が必要らしい。
試しに純文学とホラー小説用のペンを同時に使うと、思わぬ作品ができた。これはいいなと三、四本同時に使って書き始める人もいた。
だがそんなことをしても荒唐無稽で、まとまりのない話になることがほとんどだった。売り物にはならない物だった。
こんなペンはけしからん廃止すべきだとの声も多かったが、いや宿題用のペンなんてないのだし面白いじゃない様子をみようよとの声が大勢を占め使われることとなった。
このペンが不況の出版業界や文房具業界に活気をもたらせてくれたのも事実だった。書く楽しさや読む楽しさを味あわせてくれる、きっかけになったのだ。
お互いライバル心を持ち切磋琢磨したから文学の質は飛躍的に伸びた。
ファンタジー
公開:23/04/04 23:25

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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