Ⅱ-26 趣こそが"死"の天敵

　DriP(ドリップ)。
　第４宣言を皮切りにヒトが手に入れた、具現化する創作の力(WonDer)は、そう呼ばれるようになった。
　それまでの神の力に最も近しいとされた、錬成魔術(マギア)や式神(アラヤ)等と最も異なる点は、先の腐女神にも見られるように、その者の嗜好にあまりにも直結した存在が生み出されやすいということだ。
　例えば、音楽好きな一つ目鬼の少女は、音質への深い拘りから、スピーカー等、それに関わる物を創作する力を発現し、"死"を払う護石としても活用することができた。
　しかしその力は、生活資源や神事としての一定の形式があった先の二大魔術以上に、レミナの世界に、強いてはハロウィンの夢により享楽の宴と化したハロウィンに新たな狂騒を加えることになった。
　その力を持った者は、DriPer(ドリッパー)と呼ばれるようになり、ハロウィンの夢同様に、羨望と侮蔑をない交ぜた評を受けている。