ピンポーン

ピンポーン
改札機がバタンと閉まった。そうか。地方の電車はSuicaが使えないこともあるか。
年度替わりのタイミングで休暇を取り、この温泉街に3泊4日のひとり旅を決行したが、街についてすぐ、出鼻をくじかれてしまった。
Uターンして券売機に向かうと、Suicaをはじめ交通系ICは全て使えると書いてある。
「すみません」
駅員に事情を話した。
「ああ、Suicaのペンギンに逃げられましたね」
「ええっ」
カードからはペンギンの姿が消えていた。
「普段お仕事でしか電車に乗らない方が突然旅行に行くと、ペンギンの中には驚いて逃げちゃうナイーブな子もいるんです。ペンギンがいないとSuicaって使えないんです」
「どうしたら良いんでしょう」
「新しいSuicaを作れば良いだけです。まあ、南極で新しいペンギンをスカウトする手もありますが」
「南極…」
面白くなってきたぞ。
よし。GWは南極に行ってやろう。