行き先は。
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ガタンゴトン
眠った老人を乗せ電車は走る。
「ばあさん、俺を置いて逝かないで」
「大丈夫です、すぐに良くなります。それにあなたを置いていきませんよ」
老人は長年寄り添った妻との幸せな日々を振り返る長い夢を見ていた。
ただ今老人が見る夢は妻の最期から少し経った頃だった。
「あぁ、ばあさんの味噌汁が飲みたいよ」
「あ、ばあさんの好きな歌がテレビから聞こえるよ」
「ばあさん・・ゴホッ」
「ごめん、ばあさんの好きな花を枯らしてしまった」
「ばあさん・・」
「薬どこかな・・」
「あぁ、しんどいのう・・」
「・・会いたいよ」
老人は「おやすみ」と言い部屋の電気を消した。
「ー終点。あの世。あの世。」
老人はその声で目を覚まし、辺りを見渡した。
「お客様、長旅ご苦労様でした。終点でございます」
老人は状況が掴めぬまま、ホームに目を向けた。
そこに座っている一人の女性と目が合い、涙を流した。
眠った老人を乗せ電車は走る。
「ばあさん、俺を置いて逝かないで」
「大丈夫です、すぐに良くなります。それにあなたを置いていきませんよ」
老人は長年寄り添った妻との幸せな日々を振り返る長い夢を見ていた。
ただ今老人が見る夢は妻の最期から少し経った頃だった。
「あぁ、ばあさんの味噌汁が飲みたいよ」
「あ、ばあさんの好きな歌がテレビから聞こえるよ」
「ばあさん・・ゴホッ」
「ごめん、ばあさんの好きな花を枯らしてしまった」
「ばあさん・・」
「薬どこかな・・」
「あぁ、しんどいのう・・」
「・・会いたいよ」
老人は「おやすみ」と言い部屋の電気を消した。
「ー終点。あの世。あの世。」
老人はその声で目を覚まし、辺りを見渡した。
「お客様、長旅ご苦労様でした。終点でございます」
老人は状況が掴めぬまま、ホームに目を向けた。
そこに座っている一人の女性と目が合い、涙を流した。
その他
公開:23/03/31 16:06
小町夕作(コマチ ユウサク)です。
よろしくお願いします。
楽しく読んでいただけるような物語を書いていきたいと思います。
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