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 はあー。いいお湯だった。
 硫黄泉に炭酸泉、サウナに露天風呂。堪能した。最近の疲れもすっかり吹き飛んだ。
 お待ちかねの晩御飯。温泉に時間を割きすぎたので早歩きで部屋に戻る。

「こちら、とれたて新鮮な海の幸をふんだんに使った船盛りでございます。薬味とお醤油はこちらに。そしてお隣が、摘みたての山菜を使用した天ぷら、こちらは当旅館自慢のだし汁につけてお召し上がりください。そして──」

 女将さんは丁寧に説明をしてくれる。けれど早く料理を食べたい。時間は23時50分。想像していた以上に遅い時間。
 こんな時間でも対応してくれるのが“この旅館”の良いところだが……。
「では、」女将さんの声と同時に箸に手をかけて──。

 時間切れ。新発売の“旅缶”(りょかん)。これは、日付が変わるまでの間だけ素晴らしい旅館のサービスを受けられる、変わった缶なのだ。
 温泉、早めに切り上げればよかったな……。
ファンタジー
公開:23/03/31 23:56
旅館

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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