旅の恥
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各地の名所を巡る旅も、いよいよ大詰めだ。ここだという場所に辿り着いたから。
『にいちゃん、何を捨てようとしてんだ』
驚いて振り返ると、老人が立っていた。足元には大きな布の袋。
「もしかしてサンタクロース?」
『バカ言うな。こんなもん誰がプレゼントして欲しいんだよ。ほれ』
広げられた袋の口を覗き込むと、モワッとイヤな臭いがした。と思った瞬間、目の前に情景が浮かぶ。
観光地でいいアングルの写真を撮るために道路に飛び出す男女。明らかに食べきれない量の料理を注文し、案の定残す男性。臭い以上に気分が悪くなる光景が、脳内で次々と再生される。
『そいつはな、観光客が掻き捨てた旅の恥だ。放っとくとたまる一方だから拾ってんだよ』
事態を飲み込めず呆けている僕に老人は続ける。
『こんな奴らが今も生きてんだ。捨てるのは、恥ぐらいで留めねえとな』
そう言って老人は僕の肩を掴み、闇のように茂る樹の海に背を向けた。
『にいちゃん、何を捨てようとしてんだ』
驚いて振り返ると、老人が立っていた。足元には大きな布の袋。
「もしかしてサンタクロース?」
『バカ言うな。こんなもん誰がプレゼントして欲しいんだよ。ほれ』
広げられた袋の口を覗き込むと、モワッとイヤな臭いがした。と思った瞬間、目の前に情景が浮かぶ。
観光地でいいアングルの写真を撮るために道路に飛び出す男女。明らかに食べきれない量の料理を注文し、案の定残す男性。臭い以上に気分が悪くなる光景が、脳内で次々と再生される。
『そいつはな、観光客が掻き捨てた旅の恥だ。放っとくとたまる一方だから拾ってんだよ』
事態を飲み込めず呆けている僕に老人は続ける。
『こんな奴らが今も生きてんだ。捨てるのは、恥ぐらいで留めねえとな』
そう言って老人は僕の肩を掴み、闇のように茂る樹の海に背を向けた。
その他
公開:23/03/31 23:47
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