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中学の同級生だったヤスくんはいつも駅にいて、毎日数取器でカチカチと軽快なリズムを刻んでいた。数えているのは「旅立ちの数」だ。旅行に行く人、上京する人、新社会人、道で死んでいた鳥…様々な形の旅立ちをヤスくんはカウントしていた。俺はヤスくんの数える音が大好きで駅まで会いに行っては2人で「旅立ち」を数えた。ある時俺はふと気になってヤスくんに聞いてみた。
「何で旅立ち数えてんの?」
「暇だから…あと」
「あと?」
「知りたいんだ。俺の順番。」
ヤスくんは透けた自分の手の中にある数取器を見つめながらそう答えた。
あれから5年後のことだ。毎日駅にいたヤスくんが突然いなくなった。ヤスくんがいつも立っていた場所には数取器だけが残されていて3470で数字が止まっていた。その日は彼の20歳の命日だった。ついに順番が来たか…。少し寂しくなった俺は数取器を拾い、カウントをした。ヤスくんのいない明日に旅立つために。
「何で旅立ち数えてんの?」
「暇だから…あと」
「あと?」
「知りたいんだ。俺の順番。」
ヤスくんは透けた自分の手の中にある数取器を見つめながらそう答えた。
あれから5年後のことだ。毎日駅にいたヤスくんが突然いなくなった。ヤスくんがいつも立っていた場所には数取器だけが残されていて3470で数字が止まっていた。その日は彼の20歳の命日だった。ついに順番が来たか…。少し寂しくなった俺は数取器を拾い、カウントをした。ヤスくんのいない明日に旅立つために。
その他
公開:23/03/31 23:29
いたりかえです。空想と創造の毎日です。
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