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博士は長年の研究の末、動物のDNAを移植した生きたスーツケースを完成させた。この世に一匹しかいないこのスーツケースに、博士はフランケンスーツケースと名付けた。
「スーツケースとして旅に連れていけるペットなんて、わしのような独り身の年寄りにはもってこいだ。見た目は普通のスーツケースだが生き物だから、飛行機に乗せるのは何かと面倒が起きそうだが、列車なら大丈夫だろう。早速、来週コイツを連れて旅行にでも行こう」
翌週。すっかり博士に懐いたフランケンは、博士に寄り添って移動し、旅行を楽しんだ。
博士は旅先で食品や次の研究の材料をたくさん買い、フランケンの中に詰め込んだ。
「可愛いうえ荷物もたっぷり運んでくれるときた。なんて素敵なペットなんだ」
博士は嬉しそうに帰路へ着いた。家に帰り、博士はフランケンを開いた。すると、入れたはずの食品がすっかり無くなっていた。
「お、お前、食いよったな…!」
公開:23/03/30 16:38
更新:23/03/30 17:10
プチコン

産地直送タッセル万年筆・田中エイドリアン

アマチュア執筆ユニット「産地直送タッセル万年筆」の田中エイドリアンです。主にnoteにショートショートを投稿しています。400字以内の作品が書けた際は、こちらにも投稿していきます。 http://note.com/freshpen

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