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街道屋の『寄り道団子』は旅行者垂涎の旅みやげだ。
上質な道草を練り込んだ串団子で、一つ頬張れば冒険心とワクワク感が広がり、噛み締めるほどに旅情と郷愁がにじみ出る。一本食べ終える頃には旅に出たくなる事請け合いの名物菓子なのだ。
せっかくなら本場の出来たてを味わいたいと、連休を利用して現地を訪れた。
峠に佇む街道屋でお目当ての団子を注文、かぶり付こうと口を開けたが、てっぺんの団子がするりと逃げ、串の下へ回ってしまった。何度か格闘するも、どの団子も器用に串をぐるぐる回って口に入らない。
「そりゃ姉妹品の『回り道団子』だよ」
隣の常連らしき客が笑って串を指す。よく見れば串の持ち手に迂回路の矢印が書いてある。串を外せば行けるのか、しかし串団子好きとしてはそのままガブっと……
「店主のいたずら心さね。ほれ見てな」
常連客がくるりと串を裏返し、頭から団子をかじる。
串の裏面には直進標識が書いてあった。
上質な道草を練り込んだ串団子で、一つ頬張れば冒険心とワクワク感が広がり、噛み締めるほどに旅情と郷愁がにじみ出る。一本食べ終える頃には旅に出たくなる事請け合いの名物菓子なのだ。
せっかくなら本場の出来たてを味わいたいと、連休を利用して現地を訪れた。
峠に佇む街道屋でお目当ての団子を注文、かぶり付こうと口を開けたが、てっぺんの団子がするりと逃げ、串の下へ回ってしまった。何度か格闘するも、どの団子も器用に串をぐるぐる回って口に入らない。
「そりゃ姉妹品の『回り道団子』だよ」
隣の常連らしき客が笑って串を指す。よく見れば串の持ち手に迂回路の矢印が書いてある。串を外せば行けるのか、しかし串団子好きとしてはそのままガブっと……
「店主のいたずら心さね。ほれ見てな」
常連客がくるりと串を裏返し、頭から団子をかじる。
串の裏面には直進標識が書いてあった。
ミステリー・推理
公開:23/03/29 18:07
プチコン
旅
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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