お荷物社員

日本中に支部を持つ大企業。そこで働く僕は会社のお荷物だ。
仕事はそこそこ出来る。新入社員よりはマシなくらいで戦力には数えられない。
そんな僕だけど重宝されている。何せ僕は会社のお荷物だからね。
荷物に紛れ、日本各地の支部へと出向する僕。転勤族ならぬ荷物族。トランク一つでどこへでも向かいます。
実はこのトランクには秘密があってね…これ、隠し扉がついているんだ。
その奥には秘密の部屋…トランクルームが存在する。僕は会社の重要機密を預かり、ここに保管している。その機密を人知れず届けるのが僕の仕事。お荷物だからノーマーク。存在感の薄さもあって誰にも怪しまれない。
いざという時は僕自身ルーム内に身を潜め、トランクだけ送ってもらう。荷物を隠すには荷物の中。気付かれた事は一度もない。
そんな僕だけど、そろそろ荷物族を引退する。
実は最近、仕事が結構できるようになってきてさ…お荷物じゃなくなってきたんだ。