ホットドッグ・エクスプレス

18
8

「さあ祐司、今日は野球を観に行くぞ」
スタジアムの歓声はいつも僕をわくわくさせる。それに父さんが買ってくれるホットドッグもだ。こいつがなきゃ始まらない。
「僕、将来野球選手になる!」
ホットドッグにかぶりつきながら僕は宣言した。
「そしたら毎日野球観られて、毎日ホットドッグ食べられるもん!」
「そうかそうか。いいな、夢は大きい方がいい」
父さんが嬉しそうに笑う。
僕はそうしてホットドッグ・エクスプレスに乗った。

列車は、時に遅れたり止まったり。
でも僕は旅を続けた。
そして今、ひとつの山に辿り着く。

ボールワン、ストライクツー。

「Come on,Yuji!」

でかいバッターの後ろで相棒が叫ぶ。
マウンドからの景色は最高だよ、父さん。
父さんにも見せてあげたい。

でもここは終着点なんかじゃない。

だって父さん、知ってるかい?
アメリカのホットドッグは、もっともっとでかいんだぜ。
その他
公開:23/03/31 12:17
更新:23/03/31 12:18
野球 ホットドッグ ピッチャー MLB WBC 時事ネタ プチコン

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容