黄金色の空

世界が優しさで包まれますように――。

いじめを苦に自殺した親友に涙しながら、彼女は、強くそう願った。

すると次の日の朝、空の色が黄金色になった。その輝きは恐ろしいほど美しく、全ての人を魅了した。テレビのニュースでは色々な事を推測しているが、原因不明であった。黄金色の空の下、世界中の人達は、非日常の中での日常生活を送る。学生は学校へ行く。会社員は会社に出勤する。そして話題は、黄金色の空の話ばかりだ。黄金色の空の話題は、普段話をしない人との良い話題になった。普段、仲良くない人と話す良いきっかけになった。不気味ね。なんて意見や、凄く綺麗だねなんて意見があったり、千差万別だ。それこそ彼女が望んだ結果だったのだ。彼女は人間には言葉がある。だから話し合えば、きっと皆がそれぞれの考えがあり、お互い分かり合えると思っていた。黄金色の空は、彼女が生み出した、たった一日限りの奇跡の魔法だったのだ。