透明病

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久しぶりの幼馴染との再会の日だ。あいつは、どんな風に成長しているのだろうか。淡い期待を込めながら、待ち合わせ場所へと向かった。待ち合わせ時間よりも十分早く着いてしまった。彼女は、まだ来ていない。それから十分が経って待ち合わせの時間になったが、彼女が現れる事はなかった。
「……遅い。どうしたんだ。何か事故にでも巻き込まれたか?」
「来たよ」
「お、来たか」
彼女の声が聞こえた方に振り返る。しかし、そこには誰もいなかった。
「おい、どこだよ」
「ここだって。目の前にいるよ」
「だからどこだよ。誰もいねえよ」
「ああ。そうか。そうだよね。分かんないよね。私、透明病にかかってるんだ」
「透明病?」
「うん。相手から姿が見えなくなる病気なんだ。声は聞こえるんだけどね」
そんな彼女の悲しそうな声を聞き、俺は透明病を治す為に走り回った。そして治った。初めて見た彼女の姿は、とても可愛かった。
公開:23/03/31 09:34

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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