タビグラス

その少年は流れ星に願いを込め、眠りについた。すると、夢に天使が現れた。
「私は眼鏡職人をしていてね。君にこれを」
「サングラス？」
「タビグラスといって、旅の記憶を景色に投影できるんだ」
朝。少年が目を覚ますと、窓際にタビグラスを二つ見つけた。公園で掛けてみると、電灯が修学旅行で見た東京タワーに見えた。少年は電車で祖母の家に行った。
「ばあちゃん、旅に出よう！」
「もう無理よ、足が悪いの」
少年は祖母の手を引き公園に行った。そこには、祖父がいた。
「あなた。まあ派手な眼鏡ね」
「さあ、旅に出かけるぞ」
二人はタビグラスを掛け、公園にある電灯を見上げた。
「もう一度ここに来たかったの、あなたと」
二人の眼前にエッフェル塔が現れ、パリの街並みが広がっていく。新婚旅行で見た想い出の光景だった。
二人は手を繋いで歩く。
少年の願いは叶えられた。
ばあちゃんに笑顔を。