労働星人

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「コノ星デ働カセテクダサイ。」
彼らは突然現れた。
「我々ハ労働星人。労働ガ喜ビ。」
当初、人類は彼らを警戒した。しかし、一旦仕事を任せてみると、彼らは仕事覚えが異常に早く、勤勉だった。瞬く間に労働という労働が彼らの手に渡った。

10年後、人類は完全に労働から解放された。彼らは自由を謳歌した。労働の知識やスキルは忘れ去られていった。

100年後、もはや労働という言葉すら失われようとしたとき、労働星人が言った。
「他ノ星ヘ引越シマス。今マデ働カセテクレテ有難ウ。」
人類は慌てた。誰一人として働けなかったからだ。もはや労働星人なしに社会は成り立たない。苦肉の策として、彼らは労働星人に仕事を教わることにした。
「引越前ニ仕事ヲ教エマス。ソノ代ワリ、代金ハシッカリモライマス。労働ハ我々ノ宝物デスカラ。」
かつて労働によって富を得ていた人類は、今や労働によって富を失うようになってしまった。
SF
公開:23/03/26 20:54

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