はじまり、おわり、またはじまり

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「また旅に出ることになったよ」

「……そう」

彼女は一瞬目を見開いたが、すぐにクールな表情に戻った。

「で、どのくらいの予定?」

「ざっと30年」

「意外と早いわね」

「果たしてどんな旅になるか……じゃ、そろそろ行くよ」

「わかった。私もそっちに行ったら教えるね」

そして、眩い光が僕を包んだ。


「中野まで」

あーあ、30歳の誕生日も残業か。タクシーの窓に映る疲れた私の顔。

「お客さん、私よ」

男性ドライバーが、急に女性口調になった。

「君か!まさかここで!」

私も思わず男性口調になる。

「これだから旅って楽しい……でも、もうすぐそれも終わり。この車、この後事故に巻き込まれるの」

「じゃあ、君も?」

「ええ、私の今回の旅も終わり」

「偶然だなぁ……また向こうで会えるかな?」

「ふふ、きっとね」

何度生まれ変わっても不思議なものだな……人生という旅は。
ファンタジー
公開:23/03/26 20:30
プチコン

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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