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ピカッ!
それは突然の雷だった。男は閃光に包まれ、気を失った。

「ここは?」
目を覚ますと、そこは病室だった。
「気づいたのね!」
左には、20代らしき見知らぬ女性がいた。
「君は誰だ?」
「あなたの妻よ!雷で記憶を失ったのね…」
彼女は涙ぐんだ。
「…顔を洗ってくる。」
混乱した男は病室を出た。
「俺は記憶を失ったのか?いや、俺は43歳だぞ?年が離れすぎじゃないか?」
顔を洗い終えた彼は、鏡を見上げた。
「まさか…」
そこには30代の男が映っていた。
「俺は自分の年齢も忘れたのか?…真実はどうあれ、この状況を飲み込むのがベストか…」
彼はそう決断し、病室に戻った。
「さっきはごめん。寝ぼけてたよ。」

10年後、彼は妻と子供と幸せに暮らしていた。仕事からの帰り道、家族との夕食を楽しみにしながら彼は確信した。
「あの時の決断は正しかった。」
その刹那、
ピカッ!
それは突然の雷だった。
SF
公開:23/03/26 14:05

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