山の向こうに

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なにかおかしい。
自転車で山越をしていると、ペダルが重かった。

「パンクだ!」

右足のすねに小さな穴が開き、空気が漏れていた。このままではまずい。僕は再び自転車を漕ぎ始めた。

「この山を越えれば!」

海が見えるはず。海水客に空気をもらおう。

しかし、力が入らない。ペダルを踏む度、膝がふにゃりと歪む。両手も皺が増えてきた。

「一人で旅なんて無理なのか」

なんとか山を越え、赤く染まる海を見下ろすと同時、僕は意識を失った。


ーーシュコシュコ

目を覚ますと、砂浜で女の子が空気入れのハンドルを押していた。

「気がついた?」

頬を夕陽に染める彼女の笑顔に、僕は一瞬で心を奪われた。

「あの!」

口からホースを外すと、逆止弁が外れた僕の口から空気が勢いよく飛び出した!

僕の体が宙を舞った。
ふと、右足の絆創膏に気づいた。僕は彼女にありがとう、とヒラヒラ大きく手を振った。
その他
公開:23/03/26 00:05
更新:23/03/26 13:22

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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