花時雨。

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桜舞う季節。春が来た。
 風に運ばれ花弁は私の前へと散った。私は遠き空へと手を伸ばすこともできない。まるで鳥かごの中にいるようで苦しかった。外を眺めれば制服を着ている人たちが淡々と歩いていく様子が見られる。それすらも羨ましかった。
 私は諦めていた。開かれたカーテンから見える景色は私を嫉妬させるだけのものだった。先生からもらった5枚の原稿用紙。薄茶色の色をしていて400字。何の変哲もないただの原稿用紙私はこの日々の感想をただ握ったシャーペンで書く。私は原稿用紙をぐしゃりと握りつぶした。
 頬から流れ落ちる雨は私の悲しみをすべて表してくれた。
偽りの生活を書かなければいけないのだろう。でもこんなまだまだ子供の私には難しい事だった。
 涙を止めたかった。だからそっと顔を上げ白い天井を見て涙を溜める。そしたら下を向いて何回か瞬きするんだ。
 1番の願いとはただこの狭い世界から出ることだった。
青春
公開:23/03/30 17:35

ろりぽっぷ

花時雨。

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