最終戦の運命

プロ野球は最終戦にTチームがYチームに勝てば優勝するという局面を迎えていた。ライバルのZチームは既に全日程を終え、Tチームが負ければ優勝する勝率だった。
Yチームにも意地があった。Zチームは優勝常連チームでTチームが久々に優勝した方が、世間は盛り上がるだろう。自分たちはその引き立たせ役となるわけだ。
なら全力でぶつかって倒してTチームとそのファンを悔しがらせてやろうぜと心をひとつにした。Yチームは最下位常連チームだったが、目の前で胴上げは見たくなかった。
試合はTチーム二点リードで最終回ツーアウトまでこぎつけた。胴上げ準備でTチームベンチの人たちが身を乗り出したところ、ランナーが二人出て逆点のスリーランホームランを打たれてしまった。
試合に負けたTチームの人たちは呆然自失となり、ほとんどの人は泣き崩れた。
Yチームの人たちは胴上げを見なくてよかった、してやったり、ざまあみろと皆で思った。